資金調達10億円のスタートアップが1年で倒産した。創業者が語る「誰も教えてくれなかった5つの罠」

シリーズAで10億円を調達し、メディアに「次のユニコーン候補」と持ち上げられたSaaS企業が、わずか1年で事業停止に追い込まれた。元CEO・K氏(34歳)が、すべてを失った今だからこそ語れる真実。

罠①:調達額が「成功の証」だと錯覚した

「10億円を調達した瞬間、自分たちは正しいと確信した。でも、調達額はVCの期待値であって、事業の成功とは何の関係もない」。K氏のチームは調達直後にオフィスを拡張し、採用を加速させた。月間バーンレートは3,000万円から1億2,000万円に跳ね上がった。

罠②:採用を急ぎすぎて「文化崩壊」

半年で15人から80人に急拡大。「面接3回で内定を出していた。カルチャーフィットなんて見る余裕がなかった」。結果、社内政治が蔓延し、創業メンバーが次々と離脱。プロダクトの方向性がチームごとにバラバラになった。

罠③:PMFの前にスケールした

最大の失敗は、Product-Market Fitが不完全なままマーケティング投資を拡大したこと。「月次解約率8%を『改善中』と自分に言い聞かせていた。冷静に見れば、プロダクトが市場に刺さっていなかった」。広告費は月間4,000万円。穴の空いたバケツに水を注ぎ続けた。

罠④:VCとの「見えない契約」

10億円の調達には、暗黙の期待が付いている。「3年以内にARR50億円」「次のラウンドで評価額100億円以上」。この期待に応えようと、短期的な数字を追い始めた瞬間、プロダクトの本質的な価値向上は後回しになった。

罠⑤:「撤退」という選択肢を持たなかった

残り資金が3ヶ月分になっても、K氏は「次の調達で乗り切れる」と信じていた。「事業をピボットする、あるいは畳むという選択肢を真剣に検討したのは、銀行口座の残高が給与1ヶ月分を切ってからだった」。最終的に、従業員への未払い給与を個人資産で補填し、会社を清算した。

K氏は現在、別の会社で事業開発に携わっている。「次にやるなら、調達額ゼロでも回るビジネスから始める」。その言葉に、スタートアップエコシステムの光と影が凝縮されている。